河童の歩いた道終章

河童が見た夕焼け


河童の泪が溢れる牛久沼

 

 

わ~きれいだな~。これが牛久沼の夕焼けなんだ。ボ~クいつも夕焼け見てるんだ。
だいぶ前の事なんだけど、ここで夕焼けみていたら、河童のボ~クに声をかけてくれるおばさんがいてね。スエおばさんといって、とても元気な、とても優しいおばさんなんだ。
ポンと、と肩をたたいて、「綺麗だね、でもむかしの夕焼けはもっともっとあざやかだったよ、空気は澄んでいて、湖水は今のように汚れてなくてね、美しかったよ。人間は駄目だね、文明だの文化だのといって、だんだんものごとを悪くしている。その点、河童は純粋でいいね!」なんて事を言ってたね、河童のボ~クにはチョット難しすぎて、よくわからななかったけど。
更にね、「人間はみな平等、河童だって沼の中ではみな平等なはずです。」と、それは河童のボ~クにとって随分ありがたい言葉だったのさ。
でもね最近スエおばさん見かけなくなたの、どうしてだろう。今も元気で畑を耕やしているはずだけど。
スエおばさん会いたいな~!!

 

 

 

河童の泪

      
ボ~クどうして河童なんだろう。人間はいいな、だって毎日キューリ食べれるんだもの。もう沼の魚飽きちゃったのさ、人間様と同じように野菜いっぱい食べたいんだ。
え~とね、白状しちゃうかな、ボ~ク好きな子いるんだ。とっても可愛いんだ、人間の女の子で名前はウララと言うんだ。
どうして河童どうしで恋愛しないの?と不思議に思うでしょう、、、そりゃ沼にもメス河童はいるさ、でも沼に大将がいて、自由にならないのさ、メス河童と恋をするなんて、そりゃ命がけなんだ。でもそんなことじゃないんだ、ウララがとにかく好きなんだ。
ウララは毎日ここ沼畔へきてね「キーキーお元気ですか?あれ?今日はあまり元気がないね」とボ~クに話し掛けてくれるのさ。いつも気遣ってくれるのさ。時々キューリを持ってきてくれるのさ。
ウララと結婚したい、いつも一緒にいたい、でも無理だな~、だってボ~ク河童なんだもの。
ウララと一緒にいると楽しい、でもウララはすぐ帰ってしまう。ウララが帰ってしまうとボ~クとめどもなく涙が出ちゃうんだ。

 

 

逝ってしまったスエおばさんを待ちつづける河童のキョンキョン
「キーキー頑張るのですよ、元気を出しなさい」と、やさしかったスエおばさんは天国からキョンキョンの事を見守っていますよ。いつまでもいつまでも。

 

  

 

満々と水を湛える牛久沼、牛久沼の水は枯れたことがなく、今日も夕日を背に受け輝いています。
牛久沼に河童が住む限り、湖水は枯れる事はありません。
牛久沼の水は河童の泪か天の雨。

 

 

あれ~、もう帰っちゃうの?残念だな~、また来てね、きっとだよ。
お便り下さいね、待ってるよー。

このコーナーの記載事項はフィクションで、登場人物等は作者の創作です。もし類似したものが現実に存在したとしてもそれは偶然です。

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