平成十四年三月九日発行

二十年の歴史を見つめて、
松葉小学校の竪穴式住居修復作業完了

 

 1982年、竜ヶ崎ニュータウン分譲と時を同じくして開校の龍ヶ崎市立松葉小学校は、今年で創立20周年を向かえる。
 ニュータウン開発中は至る所から古代人達の住居跡が出土し、県教育委員財団の発掘調査が行なわれた。松葉小学校建設予定地からも遺跡らしきものが出土し、調査の結果、縄文時代中期の集落跡と判明。その地名を採って赤松遺跡と名付けられた。
 竪穴式住居の復元は、最初は児童たちの"歴史を残したい"と言う提案で始まり、その気持ちは父兄や教師に伝わり、そしてふるさとづくりの一環として、地域住民の協力を得て完成にこぎ着けた。
 竪穴式住居は、その後の竜ヶ崎ニュータウンのシンボルとして街の発展を20年間見続けていたが、最近は老朽化が激しく、このたびの松葉小学校の20周年記念行事の一環として、修復されることになった。
1月12日 修復作業スタート 老朽化した萱を取り除き、縦横に真竹を付け加え麻紐で組みなおし屋根の部分を強化することから作業は始められた。
写真協力 松葉小PTA役員Sさん
萱をとりはらった竪穴式住居 我らが棟梁、Hさん
竹でできた骨組みが、随分痛んでいる。 龍ヶ崎市砂町にお住まいの屋根ふき職人。現在では茅葺屋根を作れる方は年々少なくなっているそうです。

 

写真協力Sさん
完成間近の竪穴住居 竪穴式住居内部
主な作業内容は、ススキ(萱)、しの竹、真竹、孟宗竹など材料収集。屋根葺き、住居内部のモルタル固め等である。
棟梁及びPTA役員を中心に、教職員、父兄、児童、地域住民の一致団結で作業は進められた。

詳しい作業内容はこちらのサイトをご覧下さい。
松葉小PTA役員 Sさん制作「竪穴式住居修復作業」 2月2日(土) 作業日数10日間を費やし、ついに竪穴式住居完成。 その間、雨の日や風の日もあり、苦難続きであったが、完成した時の喜びはひとしおだったそうです。
3月15日(金) 創立記念日に披露公開される。


見事に修復復元された、新竪穴式住居
規模は直径6メートル、深さ70センチの円形床、高さ4.5メートル、
修復前とほぼ同じ大きさである。


 竜ヶ崎ニュータウンは小高い丘になっていて、先史代から人が住み、古代文化を形成していた。その事はニュータウン開発の過程に於いての発掘調査であきらかになっている。中には旧石器時代からのものもあるが、特に縄文時代の遺跡が多く出土し、言わばニュータウンは"縄文の丘"なのである。しかし、今私達がそれを体感として捉えられるものは、僅か松葉小校庭の復元された竪穴式住居みである。遺跡の多くは発掘調査完了と共に湮滅し、その後宅地化され商店街や住宅地となっている。その事は都市開発において当然であるが、千葉市には100件の貝塚が保存されている。近くの例では美浦村には陸平縄文の里が造成されている。龍ヶ崎市にも久保台行部内公園があるが、惨めなモニュメントが飾られているだけである。それ故、20年前の松葉小児童による" 歴史を残そう!"の提案から始まった竪穴式住居の復元は、今思えば素晴らしい文化事業だったと言える。
 再び復元された竪穴式住居は、新たなニュータウンの歴史を刻むとともに、人々の暮らしを見守ってくれるだろう。